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悼む [本日のこぼれ話]

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  もう一度のこの世はあらずああ、しかし青空の下には青い朝顔  河野裕子葦舟




今朝、わたしの好きな歌人のひとり、河野裕子さんの訃報を知る。

  - 慰めも励ましも要らぬもう少し生きて一寸(ちょっと)はましな歌人になるか - 葦舟
  - 何年もかかり死ぬのがきっといい あなたのご飯と歌だけ作って -       葦舟

生命力あふれる歌で戦後生まれの女性歌人の先頭を切った河野裕子(かわの ゆうこ)さんが12日乳がんのため死去した。
64歳だった。京都女子大学在学中の23歳で角川短歌賞を受賞。
『たとえば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらって行ってはくれぬか』など、女性の感覚に深く根ざした作品で注目された。
02年「歩く」で若山牧水賞と紫式部文学賞、09年「母系」で斎藤茂吉短歌文学賞と迢空賞を受賞。
00年に乳がんが見つかり手術。08年に再発。09年に出た「葦舟」でも
『そこにとどまれ全身が癌ではないのだ夏陽背にせし影起きあがる』と闘病生活を最後まで短歌に託した。
                                                                      (YOMIURI ONLINEより抜粋)

 - たつぷりと真水を抱きてしづもれる昏(くら)き器を近江と言へり    「桜森」
 夜の扉わづか開きてのぞきゐし夕映えは杳(とほ)き華やぎに似る  「桜森」
 デボン紀の裸子植物のせしごとき浅き呼吸を恋ひつつ睡る   「森のように獣のように」

みずみずしく、しなやかで、かつしたたかに強い女性の気持ちを
詠ったものが多くて、わたしの心を惹きつけてきました。
ご冥福をお祈りします。

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   何でかう青空は青くさびしいのか 山があるせゐだよと空が教へた   葦舟」 河野裕子



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